小さな金融が世界を変える

NHKのドキュメント番組で、ある日本人金融マンが移民相手に起こした金融ビジネスを紹介していた。その人の名前は栃迫(とちさこ)篤昌さん。かって東京銀行の金融マン時代に海外の政府関係の金融を手がけていた。しかしプライベートで訪れたその国のある家庭で衝撃を受けた経験がある。接待を受けて帰る時にその家庭の子供が次はいつくるのかとしきりに訊ねた。理由を聞けば美味しいお肉いりの食事が食べれるということである。しかもそのお肉は焦げついたもので、そんな贅沢なものではない。末端の人々の暮らしが恵まれていないことを実感した。そして数年後、栃迫氏は残念ながらその子供が医療費がなくてなくなってしまったことを聞かされた。なくなる最後の最後まで栃迫氏がいつ訪れるのかを聞いてなくなったそうだ。そしてこのことが金融で希望を送って貧困をなくしたいとの氏の原点となっている。
中南米の移民が稼いだ送金の手数料は15%。栃迫氏はこの人達相手に低額の手数料で送金業務と移民向け小口ローンを開始した。
中南米の移民達は母国にコツコツと送金しているのを着目した。確実に送金している人達に信用力を与えた。そして更に出稼ぎの人の信用力でその移民の家族相手に国境越えローンを始めた。僅か38万円のローンで母国の家族が若い雌牛を購入して子牛が増えた。老いた牡牛6頭だけの家庭が10数頭も増えて収入が増大した。金融は社会に希望を運ぶ血液だ。その血液が行き渡らない人々がたくさんいる。貧困が出稼ぎを、その出稼が更に貧困を呼ぶ悪循環の連鎖をかえねばならない。と氏は訴える。
移民の送金する人のお金でその国を豊かにするシステム。栃迫氏は文字も読めない、書けない人達にも恐れず、勇気を持って貸し付けることを実践している。
本当に偉い日本人がいる。自分と同じ50代だが爪の垢を煎じてのみたいものだ。中国にもこの貧者の金融システムを導入できないものだろうか?留学生の奨学金制度を充実させたいと自身の決意を新たにした。