中高一貫教育in千代田。

 千代田区中高一貫教育を行っている千代田区立九段中等教育学校に視察に行ってきました。東京都がやっているのではなく、千代田区独自の取組みである。年間運営予算が約2億円。都立や区立中学では3000万程度。予算からして破格の違いです。
 千代田区がこの取組みをしているには理由がある。毎年、区内400人の小学校卒業生がいるが、半数の200名が私立中学に進学している。区立中学はこの一貫教育高を含めて3校あるそうだが、このままでは区立中学がなくなってしまう。「公立高の復権を図りたい」。こんな思いがこの中学校を誕生させたそうです。
 この九段中等教育学校にはユニークな理念があります。「Be Yourself!」直訳するとあなたらしく。言い換えて、「個性的自立を目指して」という意味だそうです。今の世の中猛烈に勉強して東大や有名私立大学に入学する。そしてその結果、大学に入学した途端、今までの詰め込み教育の反動で勉強しなくなる。一転、遊びはじめたり、ひどい場合は引きこもり、ニートになる事例が増えているそうです。だからこそ中高一貫で、英才教育も行うが、自分の生き方や目標を考え、心身を鍛え、人間性も練磨する教育に取組む必要があったというのです。
 この学校に入るには入学テストならず、適性試験があります。その試験内容は簡単に言えば子供の持つ潜在能力を測るテストだそうです。例えば簡単な地図をみせ、「あなたはどのコースを通って、学校までいきますか?3通り線でなぞって下さい」。という設問があります。それに対して回答は様々です。最短でコースを考える子や、目印で考える子、安全を考える子というように、その子の発想やユニークさを見極めるテストだそうです。
 この学校に入学する倍率は千代田区民は定数80人の受験者122人の1.5倍。区外からくる都民に対しても定数80人の受験者821人。10.4倍の人気だそうだ。区の税金を使うからには千代田区の入学者を優先したいというのも区民感情であろうか?一貫校ではない、残りの2校に対しても一貫校で取り入れた様々な良い施策を公平に取組めるように配慮しているそうです。
 ともあれ今の時代、品川区でも千代田区でも問われていたのは公的教育の役割と教員の意識改革。行政、議会、区民がいかに学校教育をサポートしていくのか、という重要な課題があります。そしてその教育改革に取組むには教育の目的は「子供の幸福」という視点と、規制の枠や限界に対する発想の転換が大いに必要です。品川、千代田両区の取り組みは何れも予算が大変にかかっています。しかし教育は未来に確実に残ります。板橋区も抜本的な教育改革に取組めるよう頑張りたいと思いました。